第一章

お気に入りの焦げ茶色のリボン。

フリルの付いた青いワンピースに、襟の薄い焦げ茶色の白の服。

最近、商店街にできた、おしゃれなブティックでお年玉で買った洋服だ。

ちょっと目立つので、なかなか着る機会がないのだが、今日は日曜日だし、

勇気を出して着てみたのだ。

「どう、かな?」

そう声に出そうとおもったが、あいにく見てくれるひとはいない。

今日は家はみんなではらっている。

私の家は高層マンションの10階だ。

毎日、一日二回。

エレベーターを使って上り、下りする。

「あ。」

マンションのエレベーターのB1ボタンを目にした私は、驚いた。

確かに・・・ある。

10、9、8,7・・・3、2,1。その下に、B1のボタンが、ある。

「寝ぼけたかな・・・。それとも夢でも見てる?」

私の家には、B1階なんてない。・・・はず。

でも、現実に、ボタンがある。

「おかしいな・・・。」

そのボタンを押してみた。

私の住戸(じゅうこ)のある4階、3階、2階、1階・・・扉の外の景色が消え、真っ暗になる。

エレベーター、ぶつかったりしないかな。大丈夫かな

そう思っていると、ぱっと緑色の木々と、青い空が目の前に広がる。

私は「開くボタン」を押して、扉を開いて出てみる。

まるで、不思議の国のアリスの世界のよう。

「まさか、建物の地下なのに、こんなおかしな世界あるのかしら・・・。」

私はおどろく。でも、太陽の光は暖かく、草木は優しい音を建て、私の耳に入ってくる。

本当に、いい風景が広がっていた。

「変なの。」

でも、私は思う。なかなか快適で、気持ちがよかった。

これが夢なら、ずっと続けばいいと思う。そうだ、紅茶とお菓子を用意して、

ゆっくりとした時間を過ごせたら、とても素敵なことだと思う。

「急がなくっちゃ急がなくっちゃ。」

雰囲気を壊された。私はちょっとむっとしながら見つめる。

白い時計を持ったウサギの格好をした少女。

「急がなくっちゃ、お茶会に遅れてしまう。」

「何を、そんなに急いでいるの?」

「たくさんのお菓子を用意して、おいしいお茶を用意して・・・」

白いうさぎは、そういうと、大きな穴の中に飛び込んだ。

「たくさんの、お菓子と、おいしいお茶・・・。」

頭の中に、浮かんだ。甘いケーキと、紅茶。甘いスイーツ・・・。

不思議と、迷いはなかった。

私は、白いうさぎを追って、その真っ暗な穴の中に、飛び込んだ。

ハニー☆ガール

 

つづく