お気に入りの焦げ茶色のリボン。
フリルの付いた青いワンピースに、襟の薄い焦げ茶色の白の服。
最近、商店街にできた、おしゃれなブティックでお年玉で買った洋服だ。
ちょっと目立つので、なかなか着る機会がないのだが、今日は日曜日だし、
勇気を出して着てみたのだ。
「どう、かな?」
そう声に出そうとおもったが、あいにく見てくれるひとはいない。
今日は家はみんなではらっている。
私の家は高層マンションの10階だ。
毎日、一日二回。
エレベーターを使って上り、下りする。
「あ。」
マンションのエレベーターのB1ボタンを目にした私は、驚いた。
確かに・・・ある。
10、9、8,7・・・3、2,1。その下に、B1のボタンが、ある。
「寝ぼけたかな・・・。それとも夢でも見てる?」
私の家には、B1階なんてない。・・・はず。
でも、現実に、ボタンがある。
「おかしいな・・・。」
そのボタンを押してみた。
私の住戸(じゅうこ)のある4階、3階、2階、1階・・・扉の外の景色が消え、真っ暗になる。
エレベーター、ぶつかったりしないかな。大丈夫かな
そう思っていると、ぱっと緑色の木々と、青い空が目の前に広がる。
私は「開くボタン」を押して、扉を開いて出てみる。
まるで、不思議の国のアリスの世界のよう。
「まさか、建物の地下なのに、こんなおかしな世界あるのかしら・・・。」
私はおどろく。でも、太陽の光は暖かく、草木は優しい音を建て、私の耳に入ってくる。
本当に、いい風景が広がっていた。
「変なの。」
でも、私は思う。なかなか快適で、気持ちがよかった。
これが夢なら、ずっと続けばいいと思う。そうだ、紅茶とお菓子を用意して、
ゆっくりとした時間を過ごせたら、とても素敵なことだと思う。
「急がなくっちゃ急がなくっちゃ。」
雰囲気を壊された。私はちょっとむっとしながら見つめる。
白い時計を持ったウサギの格好をした少女。
「急がなくっちゃ、お茶会に遅れてしまう。」
「何を、そんなに急いでいるの?」
「たくさんのお菓子を用意して、おいしいお茶を用意して・・・」
白いうさぎは、そういうと、大きな穴の中に飛び込んだ。
「たくさんの、お菓子と、おいしいお茶・・・。」
頭の中に、浮かんだ。甘いケーキと、紅茶。甘いスイーツ・・・。
不思議と、迷いはなかった。
私は、白いうさぎを追って、その真っ暗な穴の中に、飛び込んだ。
つづく