home > 小説 > 3章「煉獄の王国魔女ナルシア」 > 3.3 剣と王国と煉獄の魔女
「おや、目を覚ましたみたいだね。おはよう。」
私が目を覚ますと、部屋のベットの上だった。眩しい朝の日差し。木の匂いのする部屋。
あれ?私図書館にいたはずじゃなかった?
目の前には、剣を持った少女がいた。
「びっくりしたよ。家の前で倒れてるんだもの。でも、その様子だと大丈夫みたいだね。」
「あ、あの・・・。」
私は、思わず訪ねた。
「ここは、どこなのかな・・・?今は、何日たったのかな?」
剣を持った少女は少し驚いた様子をしたが、すぐに返答をした。
「うん?寝ぼけてるのかな。今はレナ・フィールド歴1000年。ここは、グロマイル王国だよ。」
アルケミストの魔女が話していたことを思い出した。レナ・フィールド歴は、ほとんど西暦と一致する。
つまり、今は私たちの時代でいうところの、西暦1000年ということになる。
過去の世界にタイムスリップしてしまったことになる。
アルケミストの魔女の話では、この時代は魔王と呼ばれる存在がおり、人々を苦しめていたらしい。
そして、英雄となる勇者と火の魔法使いが火の神を召喚して、魔王を倒したと。
「よう、その子、起きたみたいだな。」
「ちょっと、病み上がりなんだからまだ話しかけないの。」
扉を開けて、部屋に2人の男女が入ってきた。
話を聞くと、3人は、魔王を倒す為の冒険者達らしい。名前は赤いマントを着ているのがレイス=マクレイン。本を持っている神々しい法術師の少女がリーナ=リグレイン。そして最初に私が会った剣を持っている戦乙女の見習いの少女がメイス=トリスタン。
「俺たちは、これから魔王を倒しに行く。王国から遣わされた、言うなれば勇者達ってところだな。」
アルケミストの少女から聞いた。確か、英雄レイス。彼は騎士王の剣を使いこなす勇者で、仲間たちと共に魔王に立ち向かったと。そして、最終的には魔王を倒したのだと。
間違いない。この世界は、本の中の世界だ。私はこの世界に来る前に、図書館の中で、禁書のページを開いた。原理はわからないが、私は本の世界の中に取り込まれてしまったのだ。そうでなければ、説明がつかない。
元の世界に戻るにはどうすれば良いのだろう。それはわからない。ただ・・・。ここが本の世界だとするのならば、私はこの勇者達についていくのが一番の近道だと考えた。
「私も、ついて行きます!」
こうして、私の魔王を倒す旅は始まることとなったのだ。