home > 小説 > 3章「煉獄の王国魔女ナルシア」 > 3.4 策略と陰謀と参謀の決意
どの世界でも、良き王は存在する。
良き王は、民衆に好かれ、また王も民衆を決して裏切らない。
必要なのだ。象徴としての「王」が。
しかし、それだけでは国は回らない。策略を巡らせ、悪をなし、
「幼き王」のしらないところでその行為は行われる。
オレは、王の参謀だ。名前は名乗るほどのものではない。
ただ、この国の重要な人物達を裏から操り、時には騙し、
国の歯車として利用する。そんな存在だ。
オレのような存在は、平和な世の中では必要ない。
しかし、今現在。この国は、魔王軍に滅ぼされようとしている。
王国に今までにない大きな敵が迫っている。魔王軍と呼ばれる、50万の魔物軍隊を持つ最強の軍。
こちらの軍勢は魔女を含めてもたったの1万。決断の時は今。負ければ国は滅ぼされてしまう。
国が滅されればどうなる?幼き子供達は?国を諦めて逃げた先に生きる場所はあるのか。
オレは知っている。そんな場所はあるはずがないのだ。
実は、王と私しか知らない秘密がある。魔女は光と闇の顔を持っている。
光の側面は、多彩な魔法で勇敢なる戦士を助ける力。闇の側面は誰にも知られていない禁断の悪魔の術式。
その術式は戦で倒れた人々の魂を生贄にする必要があるのだ。
今までの戦争での武勲から、煉獄の魔女は王国からは絶大な権力を認められている。
人望も厚く、魔女の為に命を投げ出すという騎士もいる。その儀式を行うことは難しくはない。
だが、魔女は決してそのような儀式はしないだろう。
そして、生贄が足りない。生贄は誰でも良いわけではないのだ。
あの魔法を使うには。魔女と繋がりの強い騎士をわざと死地に送り、生贄にしなければならない。
その為には・・・。
参謀は一人、闇の中で策略を巡らせる。その数日後、参謀の発案で、魔王軍を討伐するレイス達の冒険者のパーティが結成されることとなった。