Elements of Alchemist -Story-

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3.1 庭と竜と不思議なカード

困ったことになった。「庭にドラゴンがいる」のだ。

体格は、約5メートルくらい。鋭い爪を持っていて、昨日は私の家の木を一本、その爪でなぎ倒していた。その爪とぎのような可愛い動作を、気まぐれに私で試さないとは限らない。倒した木はどうなったのかというと、口から炎のようなものを吐いて消し炭にしていた。人間なら跡形も残らないだろう。1週間くらい、どこかへ行ってしまわないかと思っていたが、どうもここの庭が気に入ってしまったらしい。警察にも電話したが、警察が来たときには、ドラゴンは散歩にいってしまった。おかげでいたずらだと思われて、二度と取り合ってくれなかった。しかし、案ずることはない。私は自分に言い聞かせた。策はある。この街には、なんと「魔法使い」がいるのだ。噂によれば、魔法使いに手紙を送ると、助けに来てくれるらしい。

「なるほどね。それで私が呼ばれたわけね。」

待つこと数日。現れたのは、金髪の髪に、青基調のホットパンツ。自信満々の口調。彼女がその「魔法使い」なのだ。「スピリアマテリアルカード。魂の断片と呼ばれるこのカードを使う事で、封印されたモンスターを召喚したり、魔法を使う事が出来る。」彼女が語り出す。私にとっては、そんなどうでも良いことより、目の前のドラゴンは速やかに排除してほしい。

「いくわよ、星の力を秘めし・・・」「パクっ」

何やら「魔法使い」はかっこいい呪文を唱え始めたが、その間にドラゴンは魔法使いを丸のみしてしまった!さて、私の選択肢は3つある。一つ目は、逃げる。しかしそれは無理だろう。ドラゴンは完全に私の方を向いて、ドラゴンブレスを吐こうとしている。二つ目は、戦う。私の攻撃、「ティンクル☆マジック!」は相手に拳で殴りかかる。近所の子供相手なら、星を見せてやる超強力な物理攻撃だが、ドラゴン相手では秒殺で返り討ちだろう。三つ目の選択肢は、「魔法使い」が使おうとした謎のカード。これを使えば、何か特別なことが出来るかもしれない。いや、使わないと私も食べられる。とりあえず、地面に散らばっていた16枚のカードから4枚を拾った。ここから、かっこいい呪文を唱えれば、ドラゴンを倒す事が出来るに違いない。そう信じるしかない。「召喚!」私は叫んだ。カッコよく。なのに何も起こらない。そうこうしているうちに、ドラゴンは爪で攻撃してきた。私は何とか直撃は免れたものの、壁に吹っ飛ばされる。「もうだめだ!」そう思うには十分すぎる状況だった。最後に駅前のケーキ屋さんでショートケーキを食べたかった。あのケーキは1000円するので、なかなか私には手が出なかった。こんなことになるなら、もっと早く食べておけばよかったのに。ドラゴンの爪がギラリと光る。もうだめだ。目の前が真っ暗になった。どうしたことだろうか。あたりが真っ赤になる。しかしそれは私の血ではない。「グギャアアア!」ドラゴンが真っ二つになって倒れている。一体何が起こったのか。

「ケガはなかったかい。」

見覚えがある。さっきカードに描かれていた騎士。その騎士は、まるで魔法が解けたように、砂のように消えていった。そして、ドラゴンも魔法が解けたように消えていた。カードに戻っていったのだ。これが、魔法使いの話していた、スピリアマテリアルのカードなのかな。

「うへえ!!気持ち悪い。ベタベタする。」

丸のみにされた少女は、無事だったようだ。「あなた、スピリアマテリアルカードを使って助けてくれたのね。べ、別にあなたがいなくても余裕だったし。」どう考えてもそうは見えなかったが。「さて、ドラゴンは退治したわ。報酬をもらおうかしら。」いや、あなたは食べられただけだと思うんだけど。そう言おうとしたが、言うと「魔法使い」のプライドを傷つけて泣かしてしまいそうだったのでやめた。「まあ、結局手伝ってくれたのはあなただし。お、お礼をしたいから、今度私の館に来なさい。」こうして、私と「魔法使い」の出会い、そして物語は始まった。

 

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