スピマテのストーリー

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3.1 庭と竜と不思議なカード

私の自宅の家の庭に、竜がいる。
中学校から帰って来た私は驚いた。全長約5m、身長3m。体重は200kgというところか。エメラルドブルーの鱗に、大きな二つのツノ。鋭い爪に、鋭利な歯を持っている。
私の庭は、この近所では広い方なので、竜に気付かれずに家に入ることが出来た。家の窓からこっそり覗いて見ると、その口から炎を吐いていた。紛れもなく竜だ。
(なんで、私の家の庭に、ドラゴンがいるの・・・?)

今は三月下旬だが、外の空気は冷たい。桜の花が咲くにはまだ少し早いこの季節。春先にはまだこういう寒空の日がある。炎の焚火で暖かいな、なんて少し考えたが、すぐに首を振って逃げるように身を隠した。黒いシャツに白い薄手の上着、ホットパンツの服装。少しこの寒さでは間違えた格好の私は、帰って来る時、寒くて寒くて、身を震わせていたが、あっという間に緊張で体が温かくなった。

「でも、大丈夫!」

そう私は竜に聞こえないように小さな声で呟いた。美咲地区。この街には、言い伝えがある。この地区には魔女が住んでいて、困った時には魔女に手紙を出せば、天使が助けに来てくれる。そういう言い伝えだ。

「ピッ」

今はデジタルの時代。私はLINEで魔女にメッセージを送った。「アルケミストの伝言板」と書かれたそのライングループに書き込みがされた。
ライングループには、私以外にも色々な書き込みがされていて、その全てが解決しているようだった。これは期待が持てる。

「それで、私が呼び出されたってわけ?」

待つこと30分。その少女はやってきた。蒼い目にブロンドの髪。私と同じホットパンツの女の子。

「急いでやってきたから、魔導のローブを着てくる暇なかったの。」

少女は少し不服そうな顔をしながら呟いた。

「初めまして。私の名前は、真城麗奈。究極の魔法使い、それが私!私が来たからには、もう安心よ!」

彼女は自信満々に、竜の前に立ちはだかった。

「ぐギャアアア!!」

竜は威嚇する咆哮を放つ。全く動じない真城と名乗る少女。彼女はブロンドの髪をなびかせ、腰につけたケースから、5枚のカードを取り出す。あのカードが、彼女の魔法を使うためのアイテムなのだろうか。私はテレビの魔法少女のアニメのシーンを思い出す。そうだ、あのカードを使って、契約の名の下に暴勇なる魔獣ケルベロスを呼び出すのだろう・・・!

「星の力を・・・」
「ぱくっ!」

食べられた。真城と名乗る少女は呪文詠唱中に、竜にあっさりと丸呑みにされた。持っていたカードはバラバラに散らばってしまう。

「真城ちゃん!!」

思わず駆け寄った私。龍と目が合う。

「逃げなきゃ・・・。」

逃げられない。腰が抜けて立つことが出来ない。情けない、これで私の人生は終わった。このままこの竜に生きたまま食べられて死ぬのだ。

ーーー
目の前が真っ白になった。

目の前には、騎士が立っている。とても懐かしい。暖かい。騎士は剣を三度振り下ろし、竜を倒した。

「果てなき時を超えて、今こそ・・・。」

そう騎士は確かに言い、光の中へと消えていった。
ーーー

「うへえ、気持ち悪い。ベタベタする。」

気がつくと、竜は倒れ、竜のヨダレでベタベタになった真城と名乗る少女がそこにはいた。

「えーっと、真城ちゃん・・・?助けてくれたの・・・?」

私は状況が飲み込めず、尋ねる。

「何言ってるの。あなたがこの竜を倒したんでしょ?・・・覚えてない?」
「私が・・・?」

私の手には、1枚のカードが握られていた。カードには、「時空竜スフィアドラゴン」と書かれている。

「カードを手に入れたってことは、あなたが倒したってこと。あなた、魔法使いだったのね。あるいは、その才能がある少女か。・・・あなた、名前は?」

「私の名前は、七紙零名。」

「名無しの零名・・・?呼びにくい名前ね。」

「言わないでよ。結構気にしてるんだから。」

「面倒ね、あなたのことはフリーディアって呼ぶわ。「名前のない魔法少女」という意味よ。来なさい。魔法少女のフリーディア。私の無限図書館に案内するわ。」

こうして、私は魔法使いの少女「真城」に出会ったのだった。ちなみに、ナナシじゃなくて、ナガミなんだけど・・・。そう説明しても、彼女は聞いてくれなかった。

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