home > 小説 > 3章「煉獄の王国魔女ナルシア」 > 3.5 冒険と魔物と旅の途中
「さあ、剣を取りなさい!」
私と向かい会うのは、メイス=トリスタン。王国に所属する最強の軍隊「フレイヤ軍」と呼ばれる、戦乙女フレイヤを隊長とする、女性のみで構成された軍だ。その訓練生。訓練生とは言っても、その実力は並の剣士をはるかに凌駕する。
「本当に戦うのか・・・?」
「回復魔法は任せてね。大怪我しても大丈夫だから!」
ギャラリー達は気楽なものだ。大丈夫じゃない。剣で切られたら痛いどころではない。
私は、英雄を目指す少年から借りた剣を握り締めながら、メイスに向き合う。訓練用の剣とはいえ、私には結構重い。
なぜこんなことになっているのかというと、私がパーティーに加わりたいと話したからだ。その為に、メイスは実力をテストすると言い出したのだ。
やれるだけ・・・、やってやる!!
こうして、私フリーディアは、戦乙女の訓練生である「メイス」と戦うことになった。
私は剣を使ったことはない。ただ、記憶の奥底に、剣を使う勇者の記憶があった。だからその姿を思い出しながら、構えを取る。
「その構え方は・・・。」
そう、私をこの前助けてくれた騎士王ロイヤルナイトのカード。あの時の騎士王の構え方、たち振る舞い、剣の持ち方。全てを私自身の体でコピーしていく。
「王国剣術か・・・。いいでしょう。勝負は一撃で決める。」
戦乙女の訓練生メイスは、かけ声と共に、切りかかってきた。