第四章 

お茶会をしようというのに、定刻どおり席についているのは、

この私帽子屋だけだった。

ハニー☆ハッター

私の仕立てたとんがり帽子を被っている魔女は座っていない。

どうせお菓子の家の建設して、疲れて寝過ごしてるんだろう。腹立たしい。

白ウサギも来ない。

あいつはいつも忙しそうにしてるが、一度も会議に間に合ったことがない。

女王の奴も来ない。

あいつはどうせそもそも面倒だから来る気がないに違いない。

 

しかし、そうなると困ったことになる。

私が真心込めて入れた、アールグレイの紅茶はどうなるのだ。

さめてしまうではないか。一人で寂しく飲めというのか。

 

と、なんとも偶然なことに、青い服を着た女の子が歩いてきた。

魔法のステッキを持っている。

犬だってヤギだってガチョウだって、かまわない。

私は目を輝かせて話しかけた。

 

「ちょっと、そこのお嬢さん」

私は急に離しかけられたので、びっくりした。

女の子だ。ちょっとボーイッシュな女の子。帽子がとってもおしゃれ。

「ちょっとそこに座りなさい。お茶会をしよう。お茶の用意もある。」

「え、ほんとう?」

そういえば、お茶はまだこの世界に来て飲んでいない。

そもそも喉が渇いた。甘いものばかりで少し飽き飽きしていたのだ。

「ちょうどいいところにきてくれた。まずはお茶をどうぞ。アールグレイだが。」

「ありがとう。」

角砂糖を2つ。ミルクも入れて、私はアールグレイを飲んだ。

「私は、帽子屋さんだ。見たところ、かわいいリボンを使っているね。君に薦められる帽子はなさそうだ。」

「ありがとうございます、帽子屋さん」

「ああ、ところで、ひとつ言い忘れていたのだが、その紅茶、いかがだったかな。」

「とてもおいしかったです。」

「それは、よく考えたら毒薬入りだった。女王をお茶会で毒殺する予定だったんだ。すっかり忘れていた。すまないね。」

!!え?

「2時間程度で、効果が現れると思うぞ。この世のものとは思えぬ腹痛に襲われ、倒れる。」

「え、ちょっと、それどういう・・・。」

私は激昂して、思わず席を立ち上がった。

「嘘だけど。」

 

こんなやり取りを1時間半ほど行っていた。

帽子屋さんは結構気さくで、お話していると楽しかった。

この世界は、「女王」と呼ばれる人物に統治されていること。

この世界の建物は、全部お菓子な魔女がお菓子の手先を使って建てているということ。

王女の王宮には、この世のものとは思えぬお菓子があるということ。

白うさぎは、今日お茶会に来る予定だったが、おそらく王宮にいるということ。

 

「そろそろ、いこうと思います。」

「そう、白うさぎを追いかけるんだっけ。がんばってね。」

「紅茶、とてもおいしかったです。またお願いします。」

「はいはいー。」

 

こうして、私は、お茶会を後にした。

目指すは、この世のものとは思えぬお菓子があるという、女王の王宮へ。

 

つづく