第三章 

お菓子な家は、建造中だった。柱と梁はあるが、壁が取り付けられていない。

 

私は家の外から、チョコレートの壁の隙間と隙間から、

そのお菓子の家の建造の様子を目撃していた。

汗水たらして、屈強な男が家を建てている。

というわけではなく、そこにいたのは、とても可愛らしい魔女だった。

ブロンドヘアーで、とんがり帽子。フリルの付いたスカート。

食べちゃいたくなるような白くて細い足。

ハニー☆マジシャン

お菓子の家の魔女は、魔法のステッキを持っていた。

テーブルの上には、おいしそうなチョコレートケーキ。

その魔法のステッキを振りかざすと、チョコレートケーキは、長さ1メートルくらい板チョコになった。

 

お菓子の家で働いているのは、お菓子な魔女だけではなかった。

よく見ると、使い魔として、ハトサブレが、建築資材を運んでいるのがわかった。

板チョコは建物の壁として、別のハトサブレが運んでいった。

このハト、飛べるんだね。

 

板チョコの壁が無事に運ばれ、取り付けられたのを確認すると、

魔女はクルクルまとめた紙を机に広げた。何かの図面・・・かな。

それを見ながら、また魔法のステッキを手にした。

働いているのは、ハトサブレだけではなく、生物型のお菓子が

必要に応じて仕事をしているようだった。

 

1時間ほど、作業をすると、魔女は疲れてしまったのか、部屋にあるベットに

横になり、すやすやと眠り始めた。眠っている姿も、とても可愛らしい。

私は、抜き足差し足で家の中に入った。

テーブルの上の書類を見ると、やはり設計図だった。

横に、なにやら細かい計算式が書かれている。

「お菓子を主要構造部に使う上での技術指針」

「お菓子を不燃材料とみなす場合の緩和規定について」

「お菓子をお菓子の家で働かせるための労働基準」

「白ありへの対策100選」

すごく難しそうなタイトルだったので、私は読むのをやめた。

 

かわりに、魔法のステッキを手に取った。

振りかざしてみると、板チョコはケーキになった。

 

もう一度振りかざすと、ケーキは板チョコに戻った。

どうやら、この魔法のステッキは、物をお菓子にすることが出来るらしい。

 

この女の子に振りかざすと、どうなるんだろうか。

ふと私はそう思い、魔法のステッキをお菓子な魔女に振りかざした。

ケーキになった。

ハニースイーツ☆ショートケーキ

ショートケーキ。とんがり帽子には不思議な色のイチゴ。

白い肌そっくりのクリーム。

女の子の目の前に、そんなおいしそうなお菓子が現れれば、

どうなるか想像に任せる。

私は、そのステッキを手にして、お菓子な家をあとにした。

笑みがこぼれるくらい甘いケーキだった。

 

 

つづく