「来たようだな。ファースト。」
「当然だ。約束だからな、セクァンド。」
「久しぶりだな。集まるのは5年ぶりか。サード。」
夜の月夜に隠れ、集まったのは3人の黒ずくめ。
「なるほど、精霊クラスの竜を一人で倒した人間がこの街にいるらしいな。」
「水の属性の魔女の末裔、アルケミストの真城家の魔法使いか?」
「いや、魔法の知識のないごく普通の生まれらしい」
「ただの人間が魔法を使えるわけがなかろう。」
「・・・イレギュラーか?」
「そうだ、セクァンド。我々の計画の不確定要素は排除しなければならない。」
「どちらにしても、このまま野ばらしにしておくわけにはいくまい。」
「誰がいく?私が出るか。」
「不要だ、セクァンド。ファーストよ、精霊クラスを倒したとはいえ、所詮お前で十分だろう。」
雷神ファースト。実は魔法使いの裏の世界では有名な存在である。雷の魔法を使い、「雷神化」と呼ばれる自分の肉体を雷に変え、攻撃出来る能力を持つ。
「ふん、雑魚の始末はいつも私の役割か。」
「頼んだぞ、ファーストよ。」
3人は、そのまま夜の闇の中へと消えた。フリーディアがアルケミストの図書館へ初めて足を踏み入れたまさに同じ時間の出来事である。